だから何ですか?
待てど暮らせどその姿は現れず、連絡を取りようにも携帯の番号なんて聞いていない。
そうして次の日は来るかと思っていればまた姿を見せず、また次の日も然り。
時間を引き延ばした分だけ煙草の量も増え、リラックスしに来ているのに苛立ちばかりが募ったという状況。
そうして今日に至ってようやく対面した亜豆はいつもの如くさらりと淡々として煙草を吹かしているわけで。
「どう説明も何も・・・仕事が立て込んでいたとしか説明が出来ませんが?それに・・・特別ここで会う約束をしていたわけではなかったかと」
「いや、そうだけど」
「それとも何か用事が?それでしたら同じ社内なんですから直にこちらに来られれば良かったのでは?」
「行けるかよ。私用でクリエイティブの人間が秘書課なんかにサラッと顔出せるか。それでなくとも噂好きな女の園だろ」
「じゃあ、どうしようもないじゃないですか。そもそも、そんな風に苛立つまでに何の用があったんでしょう?」
「はっ?・・・好きな女に会いたいと思っただけですけど?」
「・・・ありがとうございます」
はいはいはい、そのドライな反応だって予想済みでしたよ。