だから何ですか?






相も変わらず、褒め称えていい程に亜豆のスタイルは崩れを見せない。


一応、お互いへの好意を明確にし確認し合った間柄なわけで、普通であるならそんな好いた相手に『好き』なんてワードを向けられたら何かしら色気のある反応があってもいいものを。


いや、こんな思考も今更だ。


それこそもう何度も散々悩み戸惑い尽くして、そういう女だと亜豆を理解して好きになったんだろ俺。


だから今ここでそんな反応にいちいち落ち込み切る俺でもなくて、それでもどう切り替えして【可愛い】亜豆を引き出してやろうかと紫煙を漂わせていると。



「伊万里さん、」


「・・・、」


「伊万里さん」


「・・・はい、」


「伊万里さん、」


「・・・だから、何だよ?」


「・・・・・自分自身の充電です」


「あっ?」


「3日間・・・見れなかったし呼べなかったので」


「・・・・・・・・・」



何この可愛い生き物。


何この可愛いぶっ込み。


こんな可愛い事を言っていながら、俺の目に映りこむのはひたすらにクールに煙を噴いている彼女の横顔で。


そのギャップがまた妙に鋭利に突き刺さってくる。


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