だから何ですか?
それに・・・『見れなかった』って・・・アホか。
「【会えなかった】が正解だろ。自己完結すんな」
「っ・・・伊万里さ・・ふぅんん___」
何で一方的な亜豆視点だけの感覚なんだよ。
と、詰りながら口の端が上がり、もう限界だと伸ばした手で亜豆の手を掴むと引き寄せ背中に片手をまわして唇を重ねる。
お互いに片手には煙草という、熱い抱擁を成すにはネックな小物が邪魔をしている。
それでも抵抗されない限りは充分に事を成せるわけで。
・・・どうやら、抵抗の意思はないらしい。
手を掴まれた事には素直に驚きを示していたけれど、重なった唇に拒絶するような意思は見えない。
それどころか、自由の効く手を素直に俺の背に回しキュッと服を掴む指の力が変に愛おしいと胸が締め付けられるほどで・・・
末期だ。
酸素と口内に残っていた煙草の風味と、根こそぎ貪るように3日間の欲求不満の解消を図ったように濃密と言えるキスを与えれば。
拒絶はしないものの戸惑いペースを掴めず呼吸困難に慌てふためく亜豆の可愛い事よ。
寒かった冬の空気なんて一瞬で忘れた。
それほどまでに焦らし待たされたこの瞬間のキスに熱が上がって熱い程で・・・欲情という言葉さえも浮上する。