だから何ですか?




どれだけ俺を翻弄したいんだこのお嬢さん。


脳内ではめまぐるしく『亜豆、可愛いっ!!』と叫んで葛藤に悶えている自分がいるのに、表面の俺は特別乱れるでもなく見つめ上げてきている亜豆を見下ろして。



「・・・なあ、」


「はい、」


「いつ・・・する?」


「・・・はっ?何を?主語のある会話を心がけていただけま__」


「セックス」


「・・・・・誰が・・誰と?」


「俺が亜豆と、亜豆が俺と?」


「・・・・・」


「・・・・・」



はて、ここはそんな考え込むような場面なのか?


それとも、真剣にその時間の事を前向きに思案してくれているとか?


いや、それについては期待薄であることくらいは俺も分かっているけれど。


それにしても面白い程キョトンと呆けて俺を見つめ上げてきている。


今更だろうと明確に『セックス』と言葉にして、俺と亜豆の事だと交互に指差しまでして示した会話。


そんな内容に特別漫画やアニメの女子の如く一瞬で顔を赤くし取り乱す姿は見せない亜豆。


それでももう不動になって数秒。


そろそろこちらからアクションをかけるべきなのかと迷っていた最中。



< 97 / 421 >

この作品をシェア

pagetop