どうしたって期待したい!!
今まで疑問であった事が次々と本人の口から解消される状況。
この機を逃したら他にチャンスはないかもしれぬと、不躾承知で色々と切り込んで確認してしまう。
ゲイではない、彼女もいない。
その情報だけでみるみる自分の恋するメーターは高まって、『好きな子いないの?』的な問いかけには頭も沸きすぎた期待と妄想が膨らんでしまう。
『…いるよ』
『そっか……そうだよね…』
『目の前にいるよ』
『えっ……』
なーんて展開じゃな…
「まったくいないわ」
「そうなんだ………」
いや、そうですよねぇ…。
うん、いや、さすがにさっきの妄想はないわとは思うけどもさ。
淡々と即答する無表情のリアルさと言ったら……。
本人曰く、異性に反応する健全な男子とやららしいのに、だったら尚更何故誰に対しても靡くことはないんだろうか?
純粋に誰かを一途に思っているというわけでもない事が分かったら余計にどうしてと疑問が募って見つめてしまう。
「あのさ……」
「うん?」
「水城くんは……恋はしないの?」
「………」
「いや、ほら……その、モテるじゃない?それにさっき自分でも健全男子だって言ってたから…告白してきてくれた人の誰かとつきあいたいとかないのかなぁ?って…ちょっと不思議で……」
さすがに……切り込みすぎた?
踏み込みすぎた?
自分の目に映りこむ姿は本当に変化を見せない無表情で、それでも私を見つめる双眸が探りを入れる様に見つめ返してくる事にドキリとさせられる。