どうしたって期待したい!!
私はごくごく平凡。
普通に小中高と卒業し、成長過程の中で友達と一緒にファッションに目覚め化粧に目覚め、恋もしたし恋人もいたし。
落ち込む事も勿論あれどそれすら含め日々を謳歌して生きてきたと言えるだろう。
そうして迎えた大学生期。
春真っ盛りの陽気に乗ってアホみたいに恋に落ちこんだのである。
好きになった理由は全くもって単純明快で、それこそ他の女の子の恋の落ち方と大差ないモノだと思う。
結論……顔だ。容姿だ。
ろくに話した事もない癖に他の女子同様にアイドルの追っかけの如く彼に恋して追いかける様になってしまったのだ。
ああう……今日もなんて見目麗しい。
艶やかな黒髪に高身長、キリっとした目は鋭いのにそこはかとなく色気も感じる。
滅多に音を発することもなければ弧を描く事なんて一度も見た事ない唇も好き!!
ああ、もうっ……好き。
大好きですよ、水城 一鳴(みずき ひとなり)くん!
そんな熱烈な眼差しを指を咥えながら送るのも毎日の日課。
あからさますぎないかって?
大丈夫。
彼の真剣なまなざしは今日もひたすらに目の前のPCに向かって血なまぐさいスプラッタホラーの映像しか映していないから。
うううっ、せめてイヤホンで聞くか音を小さめにしていただけないだろうか?
嫌でも耳に入り込んでくる音声の想像力を掻き立てる事と言ったら。
ああ、でもその横顔好き。
ああ、でも気持ち悪いぃぃぃ。