どうしたって期待したい!!
そんな心中大荒れに、振り返りもせず鏡の中の彼を見つめてフリーズしてしまっていれば。
「………今日も百面相に勤しんでるね鈴原さん」
「が、頑張ってまーす……」
「………うん、毎日お疲れ様」
うっはぁぁぁぁぁぁ!!!
何言ってるの私ぃぃぃぃ!!!
頭が回らなくてアホな返答しちゃったじゃないかぁぁぁ!!
折角水城くんが話しかけてくれたチャンスがぁぁぁぁ!!
……って……
「毎日っ!?」
「………えっ?」
「今毎日って言った!!毎日って言った!!」
「だって……不真面目な他のゼミ生と違って毎日ここに居るの俺と鈴原さんだけだし。いや、俺も鈴原さんも一年で正式ゼミ生じゃないけどさ」
「毎日見てたと!?」
「……同じ空間に居て見てない事の方が難しくない?って……聞いてる?聞こえてる?」
いやったぁぁぁぁぁぁい!!と心で大絶叫していた私の耳には勿論彼の呼びかけなどまともに入り込んではいないのだ。
だって聞いた?聞いたよね?私の事見てたって!私の事いつの間にか見てたって!!
この世の春っ!!
と、言うか千載一遇のチャンスなんじゃ!?
彼に一目惚れして数か月。
毎日こうして場所を同じにしているのに交わす言葉は精々『お疲れ様です』なんて事務的な挨拶ばかりだった日々。