どうしたって期待したい!!
ああ、出来上がったムードをぶち壊す勢いのウサギマスクよ。
あ、皆さんすみません。お構いなく~。と、嫌でも集まった視線にそんな謝罪を心で呟く。
ただでさえ目立つ自分なのに水城くんなんてイケメンが担いで歩いているんだから、何かの撮影か?とカメラを探す人まで確認出来た。
「ふぉっ!!?」
「……腕が疲れた……」
「ちょっ……急に降ろさな…ってか、重かったみたいに!!勝手に抱え上げたのは水城くんなのにっ。そして重いのはこのウサギマスクのせいだもん!」
「じゃあ、脱げば?」
「こ、これは体の一部なので脱げません」
「マスクって言ってなかった?」
「っ~~、ってか揚げ足はいいの!!だいたい人を拉致って何の用なわけっ!?こちとらバイト真っ最中だったってのにぃぃぃ」
「………懺悔を聞いてもらおうかと思って」
「……へっ?ざ、懺悔?」
「俺の勝手な独り言に近い懺悔。……聞いてくれる?正義の味方さん?」
トンっと彼が寄りかかったのは海を背にした転落防止の手すりの壁だ。
同じ並びにはカップルがムードに酔いしれて色々な事を語らっている時間。
そんな中で異色な私達が向き合って語らうのは……水城くんが語りたいのは懺悔とやららしい。