どうしたって期待したい!!
「……分かりやすくて……馬鹿なやつ」
「えっ?」
「俺が鈴原に持った第一印象」
「っ……」
「思いっきり好意の目を向けて、ゼミまで同じにして、嫌がらせにホラー流しまくっても全然堪えないし、」
「待って、アレ嫌がらせだったの?」
「半分はね。ちゃんと自分の感情指数調べてたし、ついでに意図せず恐怖映像や音声を捉えた人間の反応も観察してた」
「待ってください、鬼ですか?」
あれむっちゃ耐えてたよ!?
本気でぶるっぶるっしながら頑張ってたんですけど!?
衝撃の告白には憤りも浮上しかけるというモノ、未だ手にしていたバルーンで思わずバシバシと切りかかるも悲しいかなバインバイン音がするだけで何のダメージも与えられない。
そして、そんな私すらドライに受け流して、
「……先に期待をかけてたのは俺なのかもしれない」
「……はっ?」
「『期待するな』なんて言った時にはすでにどっか期待してて……いや、期待してたから『期待するな』なんて言ったのかな?」
「いや、そこを私に聞かれても……」
「俺の残念な事情を話してどう出るのか。……それでも尚好意の意識を向けてくれるのか。無意識に期待して試してたのかな」
「………」
「だとしたら……やっぱり最低なのは俺だ。意地悪に試すだけ試して、泣かせた癖に追いかけなくて。でも……理由が明確じゃないのに期待を持たせる様に追いかけるべきじゃないって……あの時は思ってそれが正しいと思ってた。……冷静になってみれば言い訳つけて自分も逃げてたんだな。本当、俺って最…」
「天誅っ!!」
「………叩くか」
「水城くんを悪く言う事は許しません」
「本人が言ってるのに?」
「本人でも許しません。私は水城くんの正義なんです!」
例えね、言ってる事が正しくて本人の否定だとしても、私は水城くんの味方でいてあげる。