どうしたって期待したい!!




本当は話かけたくてうずうずしていたというのに、話しかけてくれるなと言わんばかりの空気大に普通の人が引いてしまう様な映画を眺めていた水城くん。

一応ゼミの研究として感情指数を調べていたみたいだし、個人的理由で邪魔してはいけないだろうと自分の欲求に待てをしていた今まで。

でも、まさかの向こうから話しかけてくれたチャンスよ千紗子(ちさこ)!!

ああ、すでに背を向け離れかけている彼だけども。

気が付けばすでに自分の席に戻ろうと歩み始めている彼に、慌てて手を伸ばすと服を掴んで引き止めてしまった。

感情任せの行動に『あっ』なんて思った時には彼の動揺のない眼差しが私を捉えて『何?』と問いかけているのだ。

ああああううう……水城くんの視線が私にっ、私にっ……。

っ~~

「好きっ、」

「…………」

「…………ク、クッキー……好き?」

「好きだけど?」

「わ、私も好き~……その……偶然にも私の鞄に入ってるんだけど一緒に食べないかなぁ……とか」

「くれるの?」

「喜んでっ!!」

「………じゃあ、貰う」

よっしゃぁぁぁぁぁ!!!!

思いっきり告白からヘタったけど結果オーライにクッキータイムよ千紗子!!

思い余って爆発した好意を叫んでしまうもまるで感情指数の変化が無い彼の無表情を前に投げた言葉を急カーブ。

慌てて言葉を回収しながら意図をお菓子に伝え直せば、無表情なりにも反応はくれた彼。



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