どうしたって期待したい!!




「………不用心じゃない?鈴原」

「っ…………………」

「で?…………何?」

あっ……電話かけてましたねそういえばぁぁぁ……。

と、嫌でも思い出させられる、水城くんが私に突きつけているスマホの画面。

ブルブルとバイブに震えるスマホの画面はバッチり未だに『着信』で『水原』と名前まで表示されている。

諸々……思考が追い付きませんがとりあえず、そっと携帯を持つ指先は自分からの発信を中止する。

そして、引きつった笑みでようやく発したのは、

「ひ、久しぶり~」

「うん、」

「元気?どうしてる~?」

「普通で……鈴原の前に居る」

「って、……他愛のない会話がしてみたかったりしただけの用事でしたごめんなさいぃぃぃぃ」

いや、本当それだけなんですよ!

こんな本人召喚するつもりのない、思ってもみない発信だったんですよ!

えっ?ちょっと待って?

本当に何でこうなった?

未だこの突如の訪問に頭が働かず、アホみたいに携帯の魔力かと自分のスマホを見つめてしまっていれば、

「つまり……特別用はないの?」

「ふっ!!あ、いや………な、無いと言えば無い事になるようなならない様な……」

「………ふーん」

ああああ、ごめんなさいぃぃぃ!!!

だって本当に用が無かったのよ!!

ただ単に恋しいとか寂しいとか!相手にしてみれば『知らねぇよ』と言われかねない自分の欲求からの発信だったんですよ!!

まさか水城くんを召喚するなんて夢にも思ってなくてっ!!


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