どうしたって期待したい!!
久しぶりに会ったのっけからのハイスタート。
もうさ、この人確実に私を殺りに来てるよね?
こんなしょうもないありふれたすっぴんでも水城くんが良いと言ってくれるならいくらでも晒しましょうでないの!
最早羞恥よりも歓喜が勝ると半纏プラススウェット姿の自分を誇るように姿勢を正して彼と対峙する。
うん、とりあえずだ。
イケメンをいつまでも玄関先で放置しておくのも失礼だし……、
「え、えと……どうぞ?」
「お邪魔します」
「あがるのっ!?」
「えっ?『どうぞ』って言ったの幻聴?」
「ううんっ、ううんっ!!どうぞ上がって?是非とも上がって!?ああっ、ちょっと待って!!」
本当に相手からしたらどっちだよ?という様な私の対応だと思う。
水城くんはまさにそんな状況だろうに表情を変えずに私の指示に素直に従って足踏みを数回だったと思う。
ああ、ごめんなさい!!
だけどちょっと一瞬待って!と、すぐ横のシューズクロークの上にあったお気に入り芳香剤を玄関にワンプッシュ。
よしっ、女子らしい匂いっ!と自己満足に浸って振り返ると、『さあどうぞ』とばかりに中を示して手を添える。