どうしたって期待したい!!




「………今のって……普通来客前にするようなものじゃないの?」

「だって水城くんが事前連絡してくれないから」

「いや、だからって別に慌ててしなきゃいけないモノでもないよね?」

「私の精一杯の女子力なんだよ」

「女子力どころか裏過程まで見た気分だけどね」

はっ……そうなるのか。

そんな突っ込みを入れられてしまえば漂う香りのどこか虚しいものよ。

っていうかなんか異常に恥ずかしいじゃないか。

自分の水城くんを前にしたテンパりようも相変わらずだ。

相変わらずだけど……この感じがまた良い。

久しぶり。

ああ、私超満たされてるぅぅぅ。

結局たどりつくのは水城くん大好き!幸せっ!!なんて逆上せた乙女心で、ようやく靴を脱いだ彼を『ずずいっと奥へ!』と案内する。

8畳1Kの部屋は窓際にベッド、床にローテーブルがあって、壁際には本や小物兼用のパイプ棚がある至って普通の女子部屋だと思う。

適当に好みの雑貨に溢れては居るけれど散らかってはいない。

ふうっ、元々そこそこ綺麗好きが功を奏したぜ。

いきなりの来訪で『見ちゃダメェェェっ!!』なんて汚部屋に焦る鉄板シチュエーションは回避したぜ。

……あ、いや、でもすでに『見ちゃダメェェェ!!!』と叫んでたな。

女子力皆無だった自分の姿に。


< 60 / 151 >

この作品をシェア

pagetop