どうしたって期待したい!!




こんな風に自分のお茶を飲む彼の姿は久しぶりだ。

それこそ……仲違いしてからは初めてじゃない?

正直、もうこんな時間は無いと思ったの。

可愛い彼女が出来た水城くんがこんな時間を過ごすのは私じゃなくて彼女なんだって。

私のお茶やお菓子はもう二度と食べてもらえないんだろうって。

なのに、またこうして……しかも私の部屋で紅茶を飲む彼の姿がある。

あ……ヤバい、なんか……

「………っ!?」

「……グスッ、」

「えっ?…………何涙ぐんでるの鈴原」

「うううっ、水城くんが紅茶飲んでるぅぅぅぅ」

「えっ……何?コレ飲んじゃだめだったの?」

「いいのぉぉぉ、むしろ吐く程飲んでぇぇぇ」

「なんの拷問だよ。相変わらず愉快な感情の起伏だよね」

「だって、だってぇぇぇぇ…。水城くんに会えて嬉しいんだもぉぉぉんっ」

「…………」

はっ……。

なんか……あざとい女子のような発言をしてしまった。

しかも涙を武器に。

いやいや、別に作ってこうじゃなくて、マジもんの涙とマジもんの感情吐露なんだよ!?

だから、だからっ……お願いだから探るように見つめないでぇぇぇ。

高まった感情は自分でも制御不能。

うっかり可愛さ狙いの様な涙と発言には彼より早く自分にウンザリとして引きつってしまった。

多分、これ客観的に見たら『何この女。ウッザァァ』だわ。

そして何より……さっきからシュークリーム食べる手を止めてまで見つめてくる彼の視線が痛い…。



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