どうしたって期待したい!!




たった一言で、スルリと錠を解いてしまう私はどうしようもなくこの人には弱い。

この人が好きなのだ。

改めてこみ上げる好意をじわりと感じ、スルリと自分の掌で顔の凹凸を滑らせる。

そうして双眸に入り込む明るさに目が……眩まない。

むしろ……陰っている。

この瞬間を待ち構えていた様に覗き込む彼の姿によって。

狡いよ。

こんな状態じゃあ逃げ場がないじゃない。

「………狡い」

「………………………へっ?」

いや、今の一言は私じゃないですよ?

寧ろ次に響いた間抜けな反応が私ですとも。

それでも『狡い』と思っていたのは私の方であった筈なのに、何故逆に彼の口から落とされたのかと疑問に染まる。

その疑問を探るように彼の顔を見つめ返したというのに。

「ちょっ……えっと、水城くん?…あれ?何でいきなり目捲くしされたんだろう?私」

今程外せって言ったの水城くんだよね?

だからこそこんな真っ赤な顔をお披露目したと言うのに…。

はっ!!……見るに堪えないとか?そう言いたいんですか!?水城く……

「鈴原の……感情素直にクルクル動く顔は狡い」

「………………ほえっ!?そ、それ言ったら水城くんの無表情の方が……」

「俺の無表情より狡い」

「え……えぇ~?」

何でよ?

私なんて単に感情を隠せない単純お馬鹿さんにすぎないのに。



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