どうしたって期待したい!!
狡さで言ったら断然水城くんの読ませない無表情の方でしょう?
私はいつだってその狡さに翻弄されて馬鹿みたいにじたばたしてしまうだけなのに。
そんな私の何が狡いのか?
「水城く…」
「何で俺相手にもそんな感情豊かにクルクル表情変えられるかな?」
「っ……」
「ねえ、もしそれに際限があるんだったらさ……期待させないで?」
「そっ…」
「これ以上さ、俺を喜ばせないでよ?」
「あのっ…」
「鈴原の一喜一憂見ないと落ち着かなくて押しかけちゃったくらいなんだから」
「っ~~~~」
期待させないでは……私も一緒だよ?水城くん。
そんな事言われちゃってさ、私は水城くんに期待が強まってまた発熱しちゃったじゃない。
心臓が痛い。
血がドクンドクンと大きな音を響かせて体中を巡っている気がする。
どんどん期待してよ。
私は……私だけは水城くんの期待に応え続けてあげられる。
そう言いきれるくらいに好き。
「っ……水城くん、私……」
「あ、そろそろ帰るね」
「へぇっ!!?」
えっ!?このタイミングですか!?
と、思うのは仕方ないと思いませんか?
私だけ!?
今この雰囲気が超絶盛り上がりで、まさに告白するなら今でしょ敵に奮い立ったの……私だけ!?
そんな私の心中など知る由が無いのか、そ知らぬふりなのか。
私の目元を覆っていた手をスルリと外した彼は、ベッドの上にあった枕を手に取り自分の膝とを入れ替える。