どうしたって期待したい!!



ああ、使い慣れた枕の感触が今は酷く憎いっ。

ってか、寝てられるかっ!!

「あれ?起きて平気なの?」

「………おかげさまで」

「……何でそんな膨れてるの?鈴原」

「理由を言っても絶対に水城くんはしらばっくれる」

「そう言う屁理屈言ってる時点で俺のせいって宣言してるよね。おかしいな、自分の膝提供するくらい鈴原には尽くした記憶しかないんだけど俺」

「尽くされたよ!!ものすっごい感謝感激でテンションマックスだったよ!!」

「……じゃあ、何がそんな不満かなぁ?」

盛り上がりで必ずと言っていい程落としにくる水城くんに不満ですよ。

……とは、さすがに言えない。

言える勇気なんて持ち合わせてない。

本当に、どこまでがポーカーフェイスの無表情なんだろう?

ほら見た事か。やはり狡いのは水城くんの無表情の方じゃないかと改めて感じてしま瞬間だ。

ほんの数分、数秒前の絶妙な掛け合いなどまるでなかったかのよう。

私の目元には今だって水城くんが触れていた手の感触や熱の余韻に満ちているのに、視界に捉える彼と言えばさらりとした無表情でコートを羽織って帰り支度を整える。

さっきまで……『期待させないで』なんて言って期待させてた癖に。

狡いよ。

3歩進んで3歩下がったようなプラマイゼロ気分だよ。


< 77 / 151 >

この作品をシェア

pagetop