湖にうつる月~初めての恋はあなたと
2.運命ってなに?
2.運命ってなに?
スキーツアーから戻り、私の松葉杖は幸いにも初出勤に間に合って外すことができた。
「おはようございます!」
既に受付の椅子に座っていた私の横に亜紀が滑り込む。
「松葉杖、もう取れたんだ」
「うん。随分痛みもましになったよ。整形外科の先生が無理しなければ来週くらいにはテーピングも外していいって」
「そっか、ようやく復活。よかったよかった」
亜紀は嬉しそうに笑いながら前髪を掻き上げ、私の耳元に顔を近づけて小声で言う。
「こないだのスキーツアーで営業の松村くんが言ってたんだけど」
「ん?」
「澤井ホールディングスの次期社長候補が同じホテルに泊まってたんですって」
「澤井・・・・・・?」
あの日渡された名刺が脳裏にはっきりと浮かんだ。
「なんでも、めちゃくちゃイケメンな上に仕事も一流なんですって。御年35歳で脂に乗りまくりな旬なイケメン、ロビーで見かけませんでした?私も足怪我してロビーで待ち伏せしておけばよかったぁ」
こそこそ話ながら、亜紀はうっとりとした表情で天井を見上げた。
「何馬鹿なこと言ってんの」
ってそんな亜紀を見ながらあきれたように笑ってみせるも、まさかその次期社長候補に私がロビーで助けてもらった上に、待ち合わせて二人でお茶したなんて話できるはずもなく。
「さ、今年も受付がんばりましょ!」
と亜紀の肩を軽く叩いて今日のスケジュール表に目を落とした。
え?
【9時半・・・澤井ホールティングス 海外フード営業部長 澤井涼太】と書かれた予定が真っ先に目に飛び込んできた。
スキーツアーから戻り、私の松葉杖は幸いにも初出勤に間に合って外すことができた。
「おはようございます!」
既に受付の椅子に座っていた私の横に亜紀が滑り込む。
「松葉杖、もう取れたんだ」
「うん。随分痛みもましになったよ。整形外科の先生が無理しなければ来週くらいにはテーピングも外していいって」
「そっか、ようやく復活。よかったよかった」
亜紀は嬉しそうに笑いながら前髪を掻き上げ、私の耳元に顔を近づけて小声で言う。
「こないだのスキーツアーで営業の松村くんが言ってたんだけど」
「ん?」
「澤井ホールディングスの次期社長候補が同じホテルに泊まってたんですって」
「澤井・・・・・・?」
あの日渡された名刺が脳裏にはっきりと浮かんだ。
「なんでも、めちゃくちゃイケメンな上に仕事も一流なんですって。御年35歳で脂に乗りまくりな旬なイケメン、ロビーで見かけませんでした?私も足怪我してロビーで待ち伏せしておけばよかったぁ」
こそこそ話ながら、亜紀はうっとりとした表情で天井を見上げた。
「何馬鹿なこと言ってんの」
ってそんな亜紀を見ながらあきれたように笑ってみせるも、まさかその次期社長候補に私がロビーで助けてもらった上に、待ち合わせて二人でお茶したなんて話できるはずもなく。
「さ、今年も受付がんばりましょ!」
と亜紀の肩を軽く叩いて今日のスケジュール表に目を落とした。
え?
【9時半・・・澤井ホールティングス 海外フード営業部長 澤井涼太】と書かれた予定が真っ先に目に飛び込んできた。