山猫は歌姫をめざす
【2】王女の秘密と意趣返し
2.
綾との競い合いが行われる“連鎖舞台”について、未優が聞かされた週の全体練習。
響子から発表された“女王選出大会”の出場者を決めるための“連鎖舞台”に、“第三劇場”の“歌姫”は、驚きを隠せなかった。
「今回の“連鎖舞台”が、いつもと趣向が違うのは解るね? 観客のリクエストが多かった方の演目が、最終日に再演ってのは同じだ。
が、再演することになった方の“主演歌姫”───つまり、綾と未優のどちらかに、自動的に『女王』を決める大会に出てもらうことになる。
だからといって、あんたらのやるコトに変わりはないのも解るね?
自分の持て得る限りの力を尽くして、観客を楽しませる。その基本は、同じだ。
ただ、そういう決定事項があるってことだけ、“第三劇場”の人間として知っといとくれ。
アタシの話は以上だが、今回の件はアタシの権限で綾と未優に白羽の矢を立てちまったが、それが気に食わないヤツはいるかい?
……ちなみに、シェリーは本人の希望で辞退したんだがね。
アタシが影でこそこそやる人間を嫌ってんのは、あんたらも知っての通りだ。文句のあるヤツは、この場でハッキリ言っとくれよ?」
響子は一人一人の顔を見回した。