山猫は歌姫をめざす
自らの両頬を包みこんだ清史朗の手にシェリーは片手を伸ばし、指先で触れた。ふふっと笑い、漆黒の瞳を仰ぎ見る。

「私が解らなくても、シローが解っているなら、それで充分よ」
「えぇ、確かに」

微笑みを返しながら、清史朗は身をかがめ、ふたたびシェリーの顔に自らの顔を近づけた───。



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