山猫は歌姫をめざす
黒髪のヴァイオリニストは、その青い眼で、射るように未優を見た。

「君の“奏者”が、おれ以外に誰かいるのか?」

《留加らしい》辛辣(しんらつ)な物言いに、未優はようやくホッとする。留加だ。間違いない。

「ううん、あなた以外、あり得ない! ……今日もよろしくね、留加」
「よろしく、未優。ふたりで、良い“舞台”にしよう」

───そうして、新しい“舞台”の、幕が上がる。



            【終】


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