山猫は歌姫をめざす
それ以上を望んでは、駄目だ。彼が自分に想いを寄せてくれないことも、知っているのだから。

(大丈夫。あたしには、夢があるもの)

“歌姫”になるという、夢が。
大切な夢を叶えてくれる手伝いを、自分が想いを寄せる相手がしてくれるのだ。なんと幸運なことだろう。

『君のために、弾こう』

留加のくれた言葉が、未優のこれから先、“歌姫”になるための道の行く末を、光のように、照らしている──。





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