山猫は歌姫をめざす
面白そうに勝に見上げられ、未優は頬を引きつらせながら言った。

「このエロジジイ、いいかげんにしてよねっ!」
「……うむ。いい反応じゃ。それでこそ、さわりがいもあるってもんじゃからな」
(───は?)

涼子がこめかみを押さえながら未優にささやいてきた。

「……まともなこと言ってるようで、基本、ヒヒジジイだから、未優も十分気をつけてちょうだいね」
「……はい」

ホッホッホと愉快そうに前を歩く老医師を、涼子と二人で、思いきりにらみつけてやる未優であった……。



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