神獣の花嫁~かの者に捧ぐ~
沙雪に連れて来られた“商人司”権ノ介左衛門の屋敷だ。
当主である権ノ介は、滑稽なほどにガタガタと震え、霜の降りた土の上で平伏している。
「さ、さ、さ、サクヤ姫、様っ……!
ふ、深きご慈悲にて、手前を、も、元の姿に戻してくだされたこと……か、感謝のしようも、ございませぬ……!」
権ノ介のおびえきった態度と、“眷属”たちの先ほどの会話。道幻が咲耶を『サクヤ姫』と呼んでいた、意味。
咲耶は、笑った。ふつふつと沸く怒りを、身の内にため込みながら。
「なんだか、一辺に事情がのみこめました。
いろいろと言いたいことはありますが──でも、いまは、このことだけに答えてください」
三度、咲耶は同じ質問を繰り返した。
「椿ちゃんは、どこ?」
当主である権ノ介は、滑稽なほどにガタガタと震え、霜の降りた土の上で平伏している。
「さ、さ、さ、サクヤ姫、様っ……!
ふ、深きご慈悲にて、手前を、も、元の姿に戻してくだされたこと……か、感謝のしようも、ございませぬ……!」
権ノ介のおびえきった態度と、“眷属”たちの先ほどの会話。道幻が咲耶を『サクヤ姫』と呼んでいた、意味。
咲耶は、笑った。ふつふつと沸く怒りを、身の内にため込みながら。
「なんだか、一辺に事情がのみこめました。
いろいろと言いたいことはありますが──でも、いまは、このことだけに答えてください」
三度、咲耶は同じ質問を繰り返した。
「椿ちゃんは、どこ?」