神獣の花嫁~かの者に捧ぐ~
「……そう、です、か」

なんだか嫌な話を聞いてしまったと、咲耶は思った。
裏を返せば【なかなか死ねない身体】は、拷問などの苦痛にも堪え【生き長らえてしまう】のではないだろうか?

「──で? ハクとは、ゆうべ寝たの?」

ふたたびの美穂のあけすけない問いかけに、咲耶は頭を抱えそうになった。

(それ、いま話さなきゃならない?)

「そりゃあモチロン、一緒に寝たでしょうよぉ。……まぁ、【寝ただけ】なんだろうけど」
「なにソレ。ハクって変わってはいるけど、別にアッチは普通じゃなかったの? お前とは逆に、ソッチの趣味だったわけか?」
「イヤぁねぇ。性的指向を言ってんじゃないわよ。
単純に、あの子が性成熟してないんじゃないかって、思っただけ。
だってハク、まだ生まれてから、二年と四ヶ月しか経ってないワケだし」

「────え?」

咲耶は、言葉を失いそうになった。
それは……今日聞いた、どんな話のなかでも、一番に驚かされる事実だった……。




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