神獣の花嫁~かの者に捧ぐ~
和彰──霜月柊とのデートのたび、待ち合わせた裏通り。そこで待つ咲耶の元に、霜月が乗っていた物と同じ車種のセダンが停まる。
「初めまして、白い“花嫁”サマ」
運転席から降り立ったのは、二十代半ばくらいの細身の男性。
肩までの黒髪を一つに束ねており、銀縁眼鏡の奥の一重の目を細め、咲耶を見据えてきた。
「……それで? この世界に留まるか、“陽ノ元”に戻るか、心は決まりましたか?」
丁寧語だが、ぞんざいな口調。咲耶は、自分が彼に歓迎されていないことを、肌で感じるのであった。
「初めまして、白い“花嫁”サマ」
運転席から降り立ったのは、二十代半ばくらいの細身の男性。
肩までの黒髪を一つに束ねており、銀縁眼鏡の奥の一重の目を細め、咲耶を見据えてきた。
「……それで? この世界に留まるか、“陽ノ元”に戻るか、心は決まりましたか?」
丁寧語だが、ぞんざいな口調。咲耶は、自分が彼に歓迎されていないことを、肌で感じるのであった。