神獣の花嫁~かの者に捧ぐ~
「花が散り、季節が巡り、人の世が移り行くなかで、お前と共に歩むこの未来ずっと」
おもむろにまぶたを上げれば、青みを帯びた黒い瞳が、まっすぐに自分を捕らえてくる。
「良いか、咲耶?」
特別に響く、甘美な呼びかけ。
自分の名前を、これほどまでに威力ある音で発することができるのは、彼だけだろう。
「……うん。これからもずっと、一緒に歩いて行こうね、和彰?」
そして、自分が放つ音も、彼をやわらかく束縛するものでありたいと、願うのだ。
「ああ」
相づちと共に返されたのは、ふたりを囲む風景のような、桜色をした想いだった。
───完───
【お知らせ】
このあと、後日談『宴もよう~花嫁に告ぐ~』に続きます。
よろしければ、あともう少しお付き合いくださいませ。
おもむろにまぶたを上げれば、青みを帯びた黒い瞳が、まっすぐに自分を捕らえてくる。
「良いか、咲耶?」
特別に響く、甘美な呼びかけ。
自分の名前を、これほどまでに威力ある音で発することができるのは、彼だけだろう。
「……うん。これからもずっと、一緒に歩いて行こうね、和彰?」
そして、自分が放つ音も、彼をやわらかく束縛するものでありたいと、願うのだ。
「ああ」
相づちと共に返されたのは、ふたりを囲む風景のような、桜色をした想いだった。
───完───
【お知らせ】
このあと、後日談『宴もよう~花嫁に告ぐ~』に続きます。
よろしければ、あともう少しお付き合いくださいませ。