神獣の花嫁~かの者に捧ぐ~
──ンンッ。
これからコク様が、こちらに参られマス。ハク殿と、その“対の方”に、伝えられマセ。
……はぁっ……、いやだワ。
新参者があいさつに来るのが筋だロウニ、わざわざコク様に足を運ばせるだナンテ……!」
心の声なのか厭味なのかは分からないが、少々声を落としたところで、咲耶のところまで筒抜けなのだが。
(いきなり来るなんて、迷惑なジイ様だわ)
一応、“眷属”という先触れを寄越してはいるが、それにしても、こちらの都合も少しは考えて欲しいものだ。
厄介な気分を抱えつつ咲耶が玄関へ向かうなか、聞き覚えのある声がした。
「これ、雉草。他人様の玄関先で騒ぐでない。娘御が困っておるではないか。
確か、椿というたな? わしの手の者が失礼した。いきなり参ったは、わしのほうゆえ、気遣いは無用ぞ?
──おぉ、咲耶。『こちら』の暮らしには、もう慣れおったか?」
やはり、そこには黒い道着姿の少年・闘十郎がいて、咲耶に気づくと人懐っこく笑ってみせた。
これからコク様が、こちらに参られマス。ハク殿と、その“対の方”に、伝えられマセ。
……はぁっ……、いやだワ。
新参者があいさつに来るのが筋だロウニ、わざわざコク様に足を運ばせるだナンテ……!」
心の声なのか厭味なのかは分からないが、少々声を落としたところで、咲耶のところまで筒抜けなのだが。
(いきなり来るなんて、迷惑なジイ様だわ)
一応、“眷属”という先触れを寄越してはいるが、それにしても、こちらの都合も少しは考えて欲しいものだ。
厄介な気分を抱えつつ咲耶が玄関へ向かうなか、聞き覚えのある声がした。
「これ、雉草。他人様の玄関先で騒ぐでない。娘御が困っておるではないか。
確か、椿というたな? わしの手の者が失礼した。いきなり参ったは、わしのほうゆえ、気遣いは無用ぞ?
──おぉ、咲耶。『こちら』の暮らしには、もう慣れおったか?」
やはり、そこには黒い道着姿の少年・闘十郎がいて、咲耶に気づくと人懐っこく笑ってみせた。