神獣の花嫁~かの者に捧ぐ~
肩ごしに咲耶たちを振り返りながら遠ざかって行く茜の言葉に、咲耶は首をひねって逆方向を見る。

するとそこに、酒の膳を持って気まずそうに視線をそらす犬貴と、咲耶たちに向かいニヤニヤと笑ってみせる犬朗がいた。

(み、見られてた! 恥ずッ)

「咲耶ぁ! ハクといちゃつきたいなら、コッチ来てやりなよーっ!」

美穂の大きな声がする。
頭上から和彰の低い声音がうながしてきた。

「咲耶、行こう」
(…………まぁ、いっか)

つながれた手のぬくもりに、咲耶の頬は自然とゆるんだ。そのまま、月が照らす宴の席へと導かれる。
そこで待つ者たちと、巡り会えた幸運を、分かち合うために。





   ─── (ひとまず) 終 ───



※このあと『宴もよう〜おまけ〜』に続きます(笑)
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