神獣の花嫁~かの者に捧ぐ~
「へーえ。俺は、てっきりハクの旦那の独り相撲かと思ってたけど……」

言って、犬朗が残された片目をつむってみせる。

「咲耶サマも、ちゃあんとハクの旦那を想っていたんだな。安心したよ。
──おっ、ようやく目的地に着いたようだぜ、咲耶サマ?」

木々の被い茂る道のさき、白い鳥居があった。月明かりに浮かぶ色合いは、白銀に光って見える。
“神現しの宴”が行われているはずの、“大神社(おおかむやしろ)”の入り口だった。


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