アシンメトリー
入学してしばらくして、一泊二日の校外学習があった。
バスで山道を登って、森林地帯の宿舎でヨットやボート体験をするというものだった。
正直、私の中では、はやく終わればいいって思った行事。
朝から夕方6時まで行事をこなし、食堂で夕食を食べていた時、オカズで嫌いな食べ物が出ていた。
「うわ、最悪。」
そう言いながら、怪訝そうな顔をして皿のはしによけた。
その後、友達とくだらない話をしながら笑っていた私の後ろをあの人が銀色のボールを持って、「おかわりいる奴おるか?手あげろ。」と言いながら通りすぎていく。
無視しながら嫌いな食べ物について、内容もない話しを話しながら笑っていると、ふざけて友達が私の手首を掴み、上にあげた。
私が手を挙げている状態になり、あの人がそれを見つけると、ゆっくりと近づいてきた。
目の前で立ち止まると、ボールの全てをトングでさらえ、私の皿に盛る。
皿に目を向けると、皿の端に寄せていた私が大嫌いなブロッコリーが山の様に入っていた。
「私、これ嫌いなんです!今、手あげたのは間違いで…」
私があの人を下から睨み付けた。
「大丈夫。篠崎さんなら食べれるって。」
そう言って私にあの人は笑いかけ、別のテーブルに周っていく。
何気なく、あの人から自然に出た笑った顔を私は初めて見た瞬間だった。
その私に向けられた笑顔を見た後、何も言えなくなる。
去っていくあの人の背中を誰にも見つからないように見つめていた。
その夜、班に分かれて割り当てられた部屋に戻り、眠りに着く前、ベッドの上で私はあの人のさっきの笑顔を思い出していた。
何故か、あの人の笑顔を思い出す度に自分の耳に聞こえる心臓の高鳴り。
そんな事絶対にない。
全然タイプじゃない。
ましてや、あんなカッコ良いともお世辞にも言えない冴えないおじさんを私が…?
勘違いだ。
私はそう言い聞かせ、うるさい音に耳を塞いで、布団に潜り込み強く瞼を閉じた。
バスで山道を登って、森林地帯の宿舎でヨットやボート体験をするというものだった。
正直、私の中では、はやく終わればいいって思った行事。
朝から夕方6時まで行事をこなし、食堂で夕食を食べていた時、オカズで嫌いな食べ物が出ていた。
「うわ、最悪。」
そう言いながら、怪訝そうな顔をして皿のはしによけた。
その後、友達とくだらない話をしながら笑っていた私の後ろをあの人が銀色のボールを持って、「おかわりいる奴おるか?手あげろ。」と言いながら通りすぎていく。
無視しながら嫌いな食べ物について、内容もない話しを話しながら笑っていると、ふざけて友達が私の手首を掴み、上にあげた。
私が手を挙げている状態になり、あの人がそれを見つけると、ゆっくりと近づいてきた。
目の前で立ち止まると、ボールの全てをトングでさらえ、私の皿に盛る。
皿に目を向けると、皿の端に寄せていた私が大嫌いなブロッコリーが山の様に入っていた。
「私、これ嫌いなんです!今、手あげたのは間違いで…」
私があの人を下から睨み付けた。
「大丈夫。篠崎さんなら食べれるって。」
そう言って私にあの人は笑いかけ、別のテーブルに周っていく。
何気なく、あの人から自然に出た笑った顔を私は初めて見た瞬間だった。
その私に向けられた笑顔を見た後、何も言えなくなる。
去っていくあの人の背中を誰にも見つからないように見つめていた。
その夜、班に分かれて割り当てられた部屋に戻り、眠りに着く前、ベッドの上で私はあの人のさっきの笑顔を思い出していた。
何故か、あの人の笑顔を思い出す度に自分の耳に聞こえる心臓の高鳴り。
そんな事絶対にない。
全然タイプじゃない。
ましてや、あんなカッコ良いともお世辞にも言えない冴えないおじさんを私が…?
勘違いだ。
私はそう言い聞かせ、うるさい音に耳を塞いで、布団に潜り込み強く瞼を閉じた。