彼氏の上手なつくりか譚
「私だって、わかってるよ。どうしようもないことだって。でも、このままじゃ可哀想じゃん。だけど、何もしてあげられない自分が無力で、悔しくて、それで……」
俯いた私の頭に、真奈が手を置いた。
「少しそっとしてあげたら? このままだと理沙まで壊れちゃいそうな気がする」
そうかもしれない。今の私には、中越くんの相談に乗るどころか、自分の感情をぶつけてしまいそうだ。
そうなっては、中越くんをどんどん追い詰めることになるだけだ。
「気分転換しようよ。たまには二人で遊びに行かない?」
そうは言っても、とてもそんな気には……。
「あ、そうだ! もうすぐサッカー部の総体でしょ? 上川くんの応援に行ってみようよ! 私も行くからさ!」
「上川くんの? えー、なんかやだよ」
「理沙、サッカーの試合、観たことないでしょ? 上川くんがプレーするとこだってさ。試しに観てみたら? 上川くんのモテる理由が少しはわかると思うよ」