彼氏の上手なつくりか譚





ホームで電車を待つ。立って待つ。


ホームは暑い。リュックからタオルを出して、顔の汗を拭った。


「暑いね」と下村くんが言った。


「暑いね」と私は答えた。


電車は来ない。会話も続かない。


立ったままで足も疲れる。


ボーリング場とかにありそうな5つ連結した椅子には誰も座っていない。


にもかかわらず、下村くんは見向きもしない。


立って待っても、座って待っても、電車が来る時間は変わらないんだから、どうせなら座って待ちたかったけど、言えない。


疲れる。




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