彼氏の上手なつくりか譚
「どこで……」
無言の時間が長かったせいか、声が擦れた。
「え?」
と下村くんが聞く。私は一つ咳をした。
「どこで降りるの?」
「えっと……あと2駅かな」
「駅から本屋までは遠いの?」
「いや、すぐだよ」
「いつもこんな遠いとこまでわざわざ本を買いに行くの?」
「山田さん、質問ばっかりだね」
下村くんが苦笑いした。
「ごめん。なんか話さないといけないかなって……」
「そっか。全然いいよ。今から行く本屋は僕の行きつけなんだ。個人経営の店で、なかなか雰囲気あるところだよ」
「それってドラマで出てくる本屋みたいに?」
「ドラマってよりは、アニメの方が近いかな」