彼氏の上手なつくりか譚
「やっぱり私が甘かったのかなー」と真奈にしては、随分と弱気なことを言った。
「男子とろくに話したこともなかった理沙に、いきなりデートしろなんてさ」
「やっと気づいてくれた?」
「でも、私の助けがない中で、本屋に行く約束をしただけでも十分進歩かな。それに、一緒に本屋に行くのだって、デートと言えなくもないし……うん、そうね。そういうことにしとく」
でも、カフェでお茶になると、どうして渋ってしまったのか。
きっとそれは、私の中の「デートの定義」の中に、「カフェでお茶をすること」が入っていたからなんだと思う。
そのたった一つの思い込みで、人一人、恥をかかせることになるなんて、思ってもみなかった。
思い込みって怖い。