彼氏の上手なつくりか譚





「お母さんがね、泊まるならロッジとかバンガローにしなさいって。そうじゃないとキャンプの許し、もらえなくってさ……」


真奈の事後言い訳を聞いて、中越くんは深いため息をついた。


駅からここまで1時間半。ガタイがいいからってだけの理由で、テントを一人で運ばされたのだ。


きっと疲れていて、反論する力も残っていないんだろう。


ガタイのよくない男Aは、早々と左側の二段ベッドの上段を確保し、あらかじめズボンの下に履いていたらしい海パン一枚になると、


「早く、川に行こうぜ! 泳ごうぜ!」


と休み時間のチャイムと同時に、「ドッヂボールしようぜ!」と廊下を走る小学生の男子状態。


対する男Bはというと、ロッジに着くなり、玄関の右手にあるトイレにこもったまま、出てこない。


昨夜、あまり寝れなかったらしく、電車に酔い、それに加えてここまでの道中で軽い熱中症のような症状も出て、


クラスに一人はいた、遠足で体調崩す奴状態。




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