彼氏の上手なつくりか譚





「まあ、別にいい。そんなこと。些細なことだ」


中越くんの言う通り些細なことなのかもしれない。


でも、だからこそ余計に気になってしまうのだ。


些細なことなのに、私はここまで徹底している。


返事に困っていると、「お! 来た!」と上川くんが声を上げた。


見ると、上川くんの竿がしなっていた。


「これは大物に違いない!」


しなっていたけど、いくらなんでもしなりすぎだ。


「バカね! 大物も大物。あんたの釣ったのは地球よ!」


と真奈が上川くんの頭を叩いた。


「痛っ! 何すんだよ!」


上川くんが真奈に水を蹴り上げる。


「やめてよ! バカが伝染る!」


「うっせえ! 伝染れ、伝染れ!」




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