彼氏の上手なつくりか譚
本館の温泉は、内風呂だけじゃなく、露天風呂、サウナもついていた。
しかも、24時間いつでも入れる。
客は私たちの他に、おばあさんが3人いるだけで、気兼ねもしなくていい。
「んあー、いいわ。あー、生ぎ返るぅ」
と真奈は石造りの壁にもたれかかって、湯船に浸かった。
「そんな入り方、修学旅行でもできる?」
「無理無理。岡本っち辺りに『親父くさっ!』とか言われて、なめられそうだし」
「そういえば、岡本さんって今頃海だよね」
「そうね。日程も被ってくれたから断りやすかったわ」
真奈はこの日しか空いていないと言ってたけど、ひょっとしたら、岡本さんたちの海の日程に被せるために、わざとこの日を選んだのかもしれない。