彼氏の上手なつくりか譚
「ねえ、みんなは好きな人とかいないの?」
お酒を飲んでいるわけじゃないのに、黄昏時の雰囲気に酔ったのか、真奈がとんでもない爆弾を落とした。
「ちょっと……」と真奈の脇腹をみんなの死角で小突くと、「いいじゃん、いいじゃん!」と肩を組んできた。
真奈の将来が少しだけ見えた気がした。
「僕は……」と下村くんが口を開いた。
「いない。恋愛に向いてないんだ」
「ってことは、彼女いたことないの?」
と真奈が聞くと、
「まあ、そう」
と苦笑いを浮かべた。
「上川くんは?」
「はあ? いねーよ、そんなの」
「なーんだ、つまんない」
そう真奈が言った後、ボソッと、
「でも、気になる人はいるけど……」
そう言ったけど、真奈には聞こえなかったらしく、
「じゃあ、中越くんは?」
と聞いた。