彼氏の上手なつくりか譚
16>>いいところを一つでも見つけるべし。





「中越くんには好きな人がいる」


そのことを知った時、私はひょっとして、自分のことじゃないかと思った。


「中越くんには好きな人がいる」がいつの間にか私の中で、「中越くんは私のことが好き」と変換されて、胸がキュンと締め付けられるような、それが緩まってポカポカするような、そんな気持ちになった。


ひょっとして、これが恋? とか思った。


恋愛小説の中にそんな描写があったら、きっとそうなんだろうけど、正直わからない。


本当に彼が私のことを好きなのか。本当にこれが恋なのか。


だから、知りたかった。


確信が欲しかった。




< 237 / 525 >

この作品をシェア

pagetop