彼氏の上手なつくりか譚
16>>いいところを一つでも見つけるべし。
「中越くんには好きな人がいる」
そのことを知った時、私はひょっとして、自分のことじゃないかと思った。
「中越くんには好きな人がいる」がいつの間にか私の中で、「中越くんは私のことが好き」と変換されて、胸がキュンと締め付けられるような、それが緩まってポカポカするような、そんな気持ちになった。
ひょっとして、これが恋? とか思った。
恋愛小説の中にそんな描写があったら、きっとそうなんだろうけど、正直わからない。
本当に彼が私のことを好きなのか。本当にこれが恋なのか。
だから、知りたかった。
確信が欲しかった。