彼氏の上手なつくりか譚





上川くんの放った何気ない一言が、私に矢の如く、力強く、鋭く刺さった。


図星だ。圧倒的図星。


上川くんってバカの割に、たまにこういう時に鋭さを発揮するから怖い。


バカってバカ怖い。


「そうね。顔真っ赤だし」


真奈もなぜか便乗してくる。


そのニヤニヤ顔は裏切りの顔だ。


ブルータス、お前もか! 状態。


「で、誰なんだ?」


中越くんが私に聞く。


「僕も気になるな!」


下村くんがらしくなく、テンション高めで聞いてくる。


「こら! 言いなさい! ほれほれ!」


真奈は相変わらず、脇腹を突いて、酔っ払い。


やめてーという気持ちと中越くん、ごめんーという気持ち。


言いたいけど、言えないモヤモヤ、ホワホワ、キュンキュンが入り混じって、そこでやっと確信する。




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