彼氏の上手なつくりか譚





「もういいだろ? その辺でさ」


上川くんが冷たく言い放って、私はハッと我に返った。


周りも静かになって、ひぐらしの声が聞こえた。


「え? 何? 何怒ってんの?」


真奈が薄笑いで上川くんに言った。


「別に」


上川くんはやっぱり冷たく言い放つ。


らしくない。本当にらしくない。どうしたんだ? 上川くん。


「あれ? まさか、怒ってるんじゃなくて、すねてる?」


え? すねてる? それってまさか……。




< 244 / 525 >

この作品をシェア

pagetop