彼氏の上手なつくりか譚
「それを踏まえて聞くけど、理沙の好きな人って誰なの?」
「いないよ」
「そっか。いないんだ」
と言ったまま、真奈の表情が固まった。
と思ったら、そのままの表情で顔をずいっと私に近づけてきた。
「いないの!?」
「え? あ、うん」
「じゃあ、好きな人いないのに、恋したいなんて言ったの?」
「言っちゃまずかった?」
「そういうわけじゃないけど……」
とは言ったものの、真奈の頭掻きむしる仕草を見れば、呆れていることは一目瞭然だった。
「あー、もうっ! 好きな人いないのに、どうやって恋するのよ!」
……あ。
「そっか。そうだよね」
忘れてた。というか、盲点だった。