彼氏の上手なつくりか譚
バーベキューがお開きになって、みんなで片付け。
私はじゃんけんに負けて、バーベキューコンロを洗う係に任命された。
ロッジの中の水道は使うことはできず、代わりに山道を少し降りたところにある水道で洗わないといけない決まり。
そのクソみたいな決まりのせいで、重いコンロを運んできて、備え付けの金タワシでこするけど、これがなかなか落ちない。
力と根気のいる作業。私が最も苦手とする作業だ。
辺りは暗い。水道には街灯が一つあるだけ。
まるで、舞台のシリアスなシーンに当てられる、スポットライトみたい。
私が主人公なら、マッチ売りの少女か、いじめられていた頃のシンデレラか……。
惨めなのは、確かだ。