彼氏の上手なつくりか譚
「返事は……今はいいや。なんか、怖いんだ、えへへ……」
そう言うと、下村くんはその場にへたり込んでしまった。
「大丈夫?」
慌てて下村くんの身体を支えようと、手を肩に回そうとした。
でも、ああ、この人は私のことが好きなんだ。という事実がまるで、感染病者に手を貸すようなことのように思えてしまって、私は手を引っ込めた。
助けたいのに、私には助けられない。
「大丈夫、大丈夫だから……」
それでも下村くんは笑っている。その屈託のない笑顔は、悩みから解放された喜びからなのかもしれない。
その代わりに、今度は私がその悩みを背負うことになるんだ。