彼氏の上手なつくりか譚
「それで、返事はどうするの?」
「だから、わかんないんだって……」
真奈は少し黙って、それからポテチで油のついた手を自分の服で拭き、その手を私の肩に乗せた。
「自分の気持ちになって、よく考えてみて。下村くんだって、何も軽い気持ちであんたのこと好きになったわけじゃないよ。下村くんは、そんな人じゃない。それはあんたにだって、わかるわよね?」
「うん……わかる」
だって、下村くんは、いい人だから。
「だったら、あんたも真剣に返事しなきゃいけないと思う。さっきは、とりあえず付き合えばいいとか言ったけど、それはお互い好きだってことが前提であって、これとは別。本気には本気で答えなきゃいけないの。だから、よく考えてみて」
そんなこと、いくら恋愛をしたことがない私にだって、わかっている。よく考えている。
よく考えて、それで出た答えが果たして、本当に正しいのかまで考えた。
でも……私にはもう好きな人がいる。
でも……彼氏だって欲しい。