彼氏の上手なつくりか譚
「よ!」
上川くんが洗い髪で帰ってきた。後ろには中越くん、そして、下村くんもいる。
三人の手には……なぜか虫取り網と虫かご。
「それ、どうしたの?」
真奈が聞くと、上川くんが、
「売店でレンタルしてきた。なんか中越がカブトムシ捕りたいとか言い出して」
「上川、お前だって捕りたいと言ってただろ」
と中越くんが顔を赤らめながら反論する。
「えー、嫌よ虫とか、キモイし」
真奈が露骨に嫌な顔をした。私も同意だ。
「けっ! これだから女子は……なあ、中越」
「まったくだ。男のロマンがわかってない」
「そんなロマンだったら、クソくらえよ」
「下村、お前はどうする?」
上川くんが下村くんに聞いて、みんなの視線が下村くんに集まった。
「僕は行きたい……かな。クワガタ狙いだけど」
「おお、下村。お前も男だな!」
中越くんが生き生きしながら言った。