彼氏の上手なつくりか譚





下村くんは私に告白をした。幸せにさせてくださいと言った。


だから、私はそれに返事をすればいい。純粋な気持ちを伝えればいい。


でも、これって告白と同じなんじゃない?


そう思うと、緊張して、恥ずかしくて、眠れなくなる。


好きなのに、勇気が出ない。


一歩踏み出せば届くのに、その一歩が遠い。


限りなく遠い。


「下村くんの気持ち知ってるのに、それっておかしくない?」


売店で一緒にアイスを買いに行く途中、真奈から言われた言葉が頭から離れない。


「こんなチャンス、なかなかないわよ? 当たるとわかってる宝くじを買うかどうか迷うなんて、チャンチャラおかしいわよ」


真奈の正論。でも、正論だけじゃ勇気は出せない。




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