彼氏の上手なつくりか譚
背後で急に声がして、驚いて振り返ると、白のポロシャツに黒の短パン姿の上川くんが立っていた。
「なんてね。どうした? 寝れないのか?」
恥ずかしい! 物凄く! さっきとは違う暑さで、ああ、死んでしまいそうだ。
たった二言しか聞かれていないのに、私の考えていること全部聞かれてしまったかのような恥ずかしさ。
「あ、うん、そう……」
あ、うん、そう。略してAUS。そんなことしか浮かばない、パニック。
「オレは起きたところ。部活辞めてから日中疲れることなくなったから、その分、睡眠時間が短くなっちゃってさ。いつもこんな変な時間に起きちゃうんだ」
そう言って、私の隣に座った。私の方は見ない。
ただ、ぼんやりと目の前の木々の間から漏れる月明かりを見ている。