彼氏の上手なつくりか譚
「え?」と驚きのあまり、声に出て、それから、
「ええー!?」と今夜一大きな声が出て、上川くんに慌てて口元を押さえられた。
「バカ! 声がでかいんだよ!」
「ご、ごめん……」と言ったけど、口元を塞がれていて、上手く声にならなかった。
「上川くん、真奈のことが好きなの?」
小声でそう聞くと、上川くんは少しの間をとって、それから小さく頷いた。
えー! 嘘ー! と思った私は、またさっきみたいに声に出ないように、自分で自分の口元に手をやった。
あの上川くんが、真奈のことを……。
でも、よく考えたら、今までの上川くんの行動に、そういう素振りが……。
素振りが……。
「わかりづらい! わかりづらいよ、上川くん! そんなの言われないとわかんないし、むしろ空回りしてんじゃん!」
「え? そうなの?」
「真奈の中での上川くんって、多分バカで、迷惑な奴にしかなってないと思うよ?」
「……マジ?」
マジだ。私にはそう断言できる。確信がある。